国際的な視野を持とう/南宇治中
スライドで支援地域の状況を説明した沢田さん

国際理解教育に力を入れている南宇治中学校(小野由美子校長)で、NGO団体「国境なき医師団」(МSF)のスタッフによる講演があった。活動報告を聞いた全学年の生徒たちが、国際的な視野を広げた。
同校の「宇治学」の一環。紛争が絶えない世界の現状を知って平和の大切さを再認識し、国際社会の一員としての意識を持ってもらうことを目的としている。
今月1日、講師で来校したのは、京田辺市出身の沢田さやかさん。高校卒業後に渡米し、米国の大学を卒業。会社員時代を経て、2009年にMSFに加盟。アフリカや中東に派遣され、東日本大震災直後の現地援助活動にも従事してきた。
講演では、はじめにMSFの体制について解説があった。世界に6つの拠点・42の事務局があり、約49000人が在籍。医療スタッフは全体の45%で、残りは沢田さんのように非医療スタッフとして必要物資の調達管理や施設の建設・修繕を行っているという。
民間からの寄付で運営が成り立っており、全体資金の97%を占めるのが特徴。政府機関など公的支援はわずか1%に過ぎない。理由について「独立・中立・公平の理念に基づき、政治・宗教・経済的にどこにも属さず活動する。公的な補助金は条件付きであることが多いため」と説明した。
関連して、12年末から派遣された、今なお内戦が続くシリアでの出来事を紹介した。担当エリアでは反政府軍の勢力が強く、政府軍の兵士が負傷して病院に運ばれてきた際に「助けることなく殺してしまえ」と血気盛んな声が上がり、戦争による国の「分断」を思い知らされたという。
沢田さんは、参加した生徒たちへ「ぜひ関心を持ち、家族や周りの人と話し合ってほしい。世界の出来事を自分事として感じることは難しいが、英語をはじめ外国語を勉強することは、その距離を縮める第一歩になる。頑張ってください」と呼び掛けた。