日本緑茶の祖…永谷宗円の生家(宇治田原町湯屋谷)を主会場に12日、『新茶まつり』が催され、町内外から200人以上が来場。時折舞う小雨が、しっとりとした風情を醸し出す中、茶文化の奥深さに身をゆだねた。
地域資源を再認識し、住民らの手で発信しようと「1738やんたん里づくり会」と「永谷宗圓翁顕彰会」が主催する無料の体験イベント。コロナ禍を経て4年ぶりに行われた前回から㈱永谷園も協賛している。
茅葺き屋根の生家敷地内にある茶園で手摘みを楽しんだ人たちは、その新芽をレンジで蒸してホットプレートで乾燥させながら加工する方法も学び、生家内では焙炉(ほいろ)を使った伝統的な手揉み作業にもチャレンジした。
また「おいしい茶は食べても旨い」と、生葉をレンジで1分、刻んで塩をまぶし、ご飯に混ぜ込む「茶飯」や新芽の天ぷらも味わい、地元産新茶も試飲。
湯屋谷を起源とし、昨年創立70周年を迎えた永谷園は、誰もが知る「お茶漬け海苔」に水をかけて食べる「冷やし茶づけ」を提供し、その清涼感が好評を得ていた。
そして、希望者は「茶畑カフェ」まで散策。
峠道を歩いていくと右手には宗円の墓。坂を下りていくと辻に出る。
そこは「本能寺の変」を知った徳川家康が、命をかけて三河への帰路に選んだ「伊賀越えの道」。右手に折れると、宇治田原で初めて茶畑ができた地…大福谷へと入っていく。
ここは、まさに日本緑茶発祥の地。
谷の奥、右手に連なる茶畑で手摘みをしたあとは、改植された幼木並ぶ特設「カフェ」で煎茶と茶団子で、ほっこり一服。
大阪や岐阜、九州地方から「時を合わせて」やって来たというネット仲間の「食べ歩きグループ」も心和む新緑に目を細めた