宇治のまち 厄祓いで疾走/県神社「大幣神事」
力を振り絞って大幣を引きずる幣差の若衆たち
のぼり旗を先導に、大幣座の行列が出発した

県祭(あがたまつり)のあとに執り行われ、宇治のまちの平穏を願う清めの儀式「大幣(たいへい)神事」が8日、中宇治地域一帯であった。地元住民のほか観光客も多く訪れ、厄祓いと無病息災を祈った。
厄病退散と豊作を祈願する道饗祭(みちあえのまつり)として伝わる神事。県祭が庶民的な性格を帯びているのに対し、大幣神事は貴族的あるいは民族的な傾向が強い祭礼で、古式の持ち物や馬馳(は)せ行事などは中世期の形式がほぼそのまま残されている。2012年3月、市の無形文化財第1号に指定を受けた。

宇治壱番から一の坂を駆け抜けた神馬

この日の午前10時、県神社境内の大幣殿で執り行われた祭事では、奥村隆司宮司による祝詞奏上の後、関係者たちが玉串を奉納した。大幣座の座頭を務めた入江宗輔さんが挨拶に立ち、支援者らへ感謝を示しながら、事故なく安全な進行を呼び掛けた。
のぼり旗を先導に、お供衆や騎馬神人が宇治神社御旅所前へ向かった。馬馳せの儀では、大勢の市民が見守る中、一ノ坂までの府道を人馬が4往復し、沿道から拍手が送られた。

悪疫を封じ込めた大幣を宇治川へ投げ入れた

本町通りを経て、再び県神社へ。気温30度近くになる暑さの中、幣差(へいさし)と呼ばれる若衆たちが、街中の厄を封じ込めた「大幣」を引きずって疾走。「ワッショイ」の掛け声をあげて宇治橋に到着すると、橋の上から大幣を川へと投げ込んだ。