古老柿(ころがき)と呼ばれる宇治田原町の特産干し柿づくりが、最盛期を迎えている。
言い伝えによると、渋柿をどうしても甘くできない村人に古老柿の作り方を教えたのは、少女に姿を変えた禅定寺の十一面観音とされる。
現在の製法は、まず「鶴の子」と言われる渋柿のヘタを取り、針に刺した実を機械で回転させてT字カッターで皮をむくことから始まる。
そして、丸太とロープ、ワイヤーで組み立てた乾燥棚「柿屋」で2~3週間ほど寒風にさらして熟成。さらに1~2週間、藁(わら)ムシロの上に並べて、箕(み)と呼ばれる竹ザルや柿もみ機で躍らせるように振り、表面に白い粉がふくと、上品な甘さが口の中に広がる古老柿の出来上がりとなる。
柿屋で乾燥させるのが宇治田原独特で、他に例を見ないが、これを誰が考案したのか、どこから伝わってきたのか、いつから、このような方法で干し柿づくりが始まったのか…確たる文献はなく、お茶栽培と柿の木との関係も含めて、本格的な研究が待たれるところだ。
とにもかくにも、同町が発祥の地である日本緑茶との相性は抜群で、その味わいが深みを増すほか、お酒を飲む前に食べると二日酔いを抑える効果もあるという。
ここ南岡之薮で6段(高さ約10㍍・長さ約12㍍・幅約2・5㍍)の柿屋を建てているのは、JA京都やましろ同町古老柿生産部(15会員)の森口雅至さん(41)。
皮をむいた実を並べていくと、棚一面が夕陽のような柿色に染まっていく。【写真】
今年は9月~10月の記録的高温で、柿の熟すのが早く、収穫量は例年の7割程度というが、その分「甘味はたっぷり」。「生産期に入ってからは雨も少なく、上手に乾燥できています」と、味には太鼓判を押す。
森口さん方では約5㌧、10万個余りの古老柿を仕上げるといい、ムシロに移された柿は徐々に白みを増している。
正月「事始め」の13日に合わせ、JA京都やましろ宇治田原町支店から、京都中央市場に向けて、11日に初荷が出る。