【第371号】2024年を振り返る 思い出日記

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【中川宗孝(環境生物研究会・城陽環境パートナーシップ会議)】

今年もカウントダウンが始まりました。2024年を振り返り、元旦の能登半島地震に始まる天災に異常気象、闇バイトに凶悪な事件やウクライナ紛争など暗いニュースばかりが思い出される中、大リーガー・大谷翔平選手の大活躍とオリンピックの感動は日本人の誇りであり、ノーベル平和賞が「日本原水爆被害者団体協議会」に授与されたことで慶事の一年が被災地復興に向けた新年への弾みとなるものと期待しています。

さて、今年のナチュラリストの十大ニュースをたどると、ライフワークとするフィールド探査では、新年早々から外来生物のクビアカツヤカミキリの調査に奔走し、6月中旬からの成虫の本格活動シーズンを迎えて地元城陽市にはまだ侵入していないとの確信を得てひと息つきました。10月のミナミイシガメの調査では時期を外しましたが、今年のスッポン漁はそれなりの成果を得、ヌートリアとアライグマの駆除で外来種バスターの責を果たしています。また、スズメバチの駆除の副産物・蜂の仔の珍味を得、猟師の特権でジビエ料理も堪能しています。

啓蒙活動では、活動母体の「城陽環境パートナーシップ会議」で作製した生き物ガイドブックの第6弾となる「外来生物編」の完成を筆頭に、野外指導での自然観察会や実習授業に、各種環境イベントでナチュラリストの本分を果たしています。社会人講師として教育現場で環境学習指導の一環を託されていた頃とは社会情勢も変わって活動の場は限られましたが、園児からシルバー世代まで、生き物を愛でる人たちと嬉々とした交流の場を楽しんでいます。

こうした活動が、絶滅の危機に瀕する生き物たちの現状とその生息環境の保全の必要性を伝える機会ともなって、郷土の自然財産である希少野生生物の保護につながることを期待しています。来年度は、コロナ禍以降足が遠のいている日本爬虫両棲類学会と日本鳥学会の大会で、研究成果の発表ができることを目標に掲げています。

そして、ナチュラリストのもうひとつのライフワークである列車の旅とミュージアム巡りでは、やはりコロナ禍以来足が遠のいている首都圏の国立科学博物館に横浜ズーラシアや鉄道博物館、高倉健の「没後10年展」に行けなかったのが心残りですが、今年も地元関西と名古屋圏を足しげく巡りました。そして今夏、2007年10月によもやの心筋梗塞に倒れてツアー中止となった北海道の旭山動物園へ、義父の13回忌法要を機に訪れ、北海道ならではのローカル列車の旅を満喫してきました。

これら2024年を振り返るフォトエッセイで、人生の第4コーナーを全力疾走するロートルナチュラリストの記録を残す機会とし、迎える2025年の巳年に弾みをつけて幻の怪蛇・ツチノコ発見でゴールを果たしたいと願っています。雑多な笑顔あふれる報告にお付き合い下さい。

◎2024年の思い出日記

先ずは城陽環境パートナーシップ会議で取り組んだ侵略的外来生物のクビアカツヤカミキリの問題では、環境イベントでの講演や展示発表でアピールし、科学教室の先生方や摂南大学の学長に就任された久保康之先生など心強い支援者の方々に協力をお願いしました。また、目撃情報が届いた向日市と長岡京市の地元議員さんにも党派の垣根を超えてクビアカツヤカミキリ防除のお願いをし、冨安てるお氏は現地にも駆け付けてくれました。(写真①②③④⑤)

クビアカツヤカミキリ研修会二度目の防除講習では、大変な作業に使命感を持って従事される樹木医の宗實久義先生の『私でもできるんですから頑張って下さい。』の言葉には頭が下がりました。また、最前線でクビアカツヤカミキリの対策に奔走されている京都府自然環境保全課の河村勇輝・担当官には、最新情報や調査指導でお世話になり、今回の「城陽生き物ガイドブック・外来生物編」の作製においても多大なご協力を頂いております。(写真⑥⑦)

こうしたガイドブックは啓蒙活動必携アイテムとして有効活用されています。昨年度の「淡水魚編」は、京都府レッドデータブックの淡水魚の執筆者でもある林博之先生が中心となって製作されましたが、たくさんの方々の協力を得ています。そんな元京都水族館副館長で「びわこベース」を開設された関慎太郎さんの所には、PS会議で夏休みに親子バスツアーでも訪れています。(写真⑧⑨) 同じく京都水族館の元館長の下村実さんは、四国水族館から日本モンキーセンターの園長に就任され、名鉄特急・ミューに乗ってお届けに参りました。(写真⑩⑪)

林先生と共に新種のナガレカマツカを発見した和束川の実習授業でお世話になった和束小学校の赤司先生や、淡水生態研究所の亀仲間・多田さんに古巣・野鳥の会京都支部の八木さんたちにもガイドブックを進呈して活用頂いています。(⑫⑬⑭) 環境学習指導でもこれまでの植物編や昆虫編共々大いに役立てています。野外実習ではヌートリアの捕獲もあって、他の学校へ教材として屍を持ち込むや臭いとひんしゅくを買いました。生きた教材の蛇やスッポンは大人気ですが、ハンター仲間と和束町で掘り起こしたオオスズメバチの巣を持参し、1kg1万円の蜂の仔自慢をしながら、生実食の披露です。(⑮⑯⑰⑱)

こうしたナチュラリスのレールを外れた啓蒙活動で、これからも自由で楽しいライフワークが続けられることを願っています。最後に、学生時代を過ごした北海道で、「日本最長鉄道一筆鈍行記録」を果たした当時の「キハ40型」のディーゼルカーの車輛に乗って、廃線寸前のローカル線を窓全開で牧場を駆け抜けた、今年一番の至福の時を刻んだ写真で今年の報告の〆としています。(写真⑲⑳) 一年間、ご愛読ありがとうございました。良いお年を。

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