
宇治市源氏物語ミュージアム(宇治東内)の企画展示室で、企画展「江戸時代の出版文化と古典の世界」が開かれている。期間中は資料29種とパネル6種を展示する。4月20日(日)まで。
流行の風俗や世相をモチーフに「今の世」を描いた江戸時代の浮世絵。18世紀後半に入ると、江戸を中心に人気を博した多色刷り木版の浮世絵は「錦絵」と呼ばれ、浅草や両国、芝などの地本屋や絵草紙屋で販売された。
今回、江戸東京博物館から画像データの提供を受けたパネル『今様見立士農工商・職人』は、彫師や摺師などをすべて女性に「見立て」た作品。絵具や刷毛、和紙といった用具が並ぶ中、小刀で版を彫る様子などが描かれている。
家塚智子館長は「浮世絵の制作は完全分業制で、それぞれの家や店で作業するはずが、一カ所に集まってやっている。(この絵は制作風景として)それらしく見えるのだが(実際には)あり得ない。でも見てると面白い」と話した。

また、源氏物語のパロディ本『偐紫(にせむらさき)田舎源氏』の続編『薄紫菟道(うじ)曙』を描いた錦絵もあり、今回が初出展。題名にあるように宇治十帖が舞台となっており、大君が総角姫、中の君は千里姫、薫は足利薫之助光将、匂宮は足利兵部丞氏郷(うじさと)となって登場するという。
午前9時~午後5時。月曜休館。観覧料は、大人600円、小人300円。問い合わせは同館℡0774‐39‐9300まで。