【中川宗孝(環境生物研究会・城陽環境パートナーシップ会議)】
11月27日、『第20回城陽市環境フォーラム』が開催され、自然環境保全の先進都市・城陽にふさわしい素晴らしいイベントとの嬉しい便りも届けられています。
依然新型コロナウィルスの不安が募る中、今年で20回の節目となる記念大会の開催は、主催者「城陽環境パートナーシップ会議」の関係者たち全ての人々の願いであり、熟慮を重ねた結果YouTube 配信で「カーボンニュートラルと私たちのくらし」をテーマに、城陽市官民一体となって知り組む『環境都市宣言』と記念講演で継続のバトンをつなぐことができました。本来は「文化パルク城陽」を会場に、多くの共催市民団体による多彩な催しで城陽市に於ける最大の環境イベントであるフォーラムを盛り上げ、毎回テーマに則した専門家によるメインの講演会は、主催者側にとっても胸を張れる功績となっています。
コロナ禍のご時世、講演会もオンライン配信では物足りない限りですが、今回のお二人の先生方によるご講演はとかく敬遠されがちなテーマの環境問題を分かりやすく解説し、ご自身の実践活動の紹介で観る人に大きなインパクトを与える素晴らしい内容でした。京都大学の浅利美鈴先生の「ごみから始める暮らしの革命」では、その行動力に驚かされ、カーボンニュートラルにつながる自身でもできる取り組みへの道しるべとなるお話で、もっとたくさんの人たちに聞いてもらいたいものでした。
もうひとり、「城陽生き物ハンドブック」の監修者でもある京都工芸繊維大学の伊藤雅信先生は、木津川河川敷で発見されたお宝生物に関連した「クワコに学ぶ城陽市の自然環境」をテーマに、カーボンニュートラルの概要と城陽市の取り組みに最大限の評価をいただいています。そして、希少野生生物の保護と環境保全を願うナチュラリストにとって、ふるさと城陽を誇りに思う環境都市宣言が奥田敏晴・城陽市長の冒頭の挨拶にあり感動しました。
「城陽市ゼロカーボンシティ宣言」の文中、「環境パートナーシップ会議」を中核に据え各種事業展開を進めながら、2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロとする「ゼロカーボンシティ」に挑戦することをここに宣言します。との言葉を受け、コロナ鬱症候群で長期活動停滞中のナチュラリストも大いに元気をもらい、あらためてひとりでも多くの人たちに「第20回城陽市環境フォーラム」をご覧頂く機会になればとの思いが今回の連載再開のきっかけとなっています。
YouTube本編は、城陽市役所のホームページなどへのアクセスで12月28日までの期間限定で観ることができます。心機一転、久しくのナチュラリストが写真で綴るフォトレポート・紙上報告にお付き合い下さい。
◎城陽市環境フォーラムトピックス
11月27日、雨模様の土曜日の午後2時、YouTubeの城陽市公式チャンネルで「第20回記念城陽市環境フォーラム」の動画配信が始まりました。(写真①) 今回もアナウンサーの米田あゆみさん(写真②)による軽快な司会進行で、イベントの記録にとどまらない全体を通して完成度の高い資料作品となっていることに注目です。浅利美鈴先生(写真③)の多彩なゴミの実態と今後の方向性などのお話を伺い、米田さんは即座に市民レベルの目線でのトークとご自身の感想を添えて、流れるような自然体の進行はさすがプロと感服しています。
そして何より特筆すべきは、奥田敏晴・城陽市長(写真④)による環境先進都市として城陽市が二酸化炭素の実質排出量をゼロにする取り組み・脱炭素社会の実現をめざしての「城陽市ゼロカーボンシティ宣言」が添えられたことで、歴史に残る郷土の環境資料となったことです。こうした城陽市の環境問題への取り組みに関しても、伊藤雅信先生(写真⑤⑥)が2001年の城陽市の環境基本条例にふれ、『前文で持続的発展が可能な地域社会がうたわれ、その方策として関係者のパートナーシップによる環境保全と生態系の多様性の確保が明記されていて、SDGsを先取りしたこの条例が国連サミットの15年も前に制定されていた城陽市の先見性に大変感服しました。』とのお言葉をいただいています。
演題の蚕の原種・クワコの研究で、飛躍的な進展があったこれまでの城陽市の木津川河川敷での調査の経緯から、興味深い生態やDNAレベルでの専門的な話まで、時間を忘れる楽しいお話を是非YouTubeでご覧下さい。関連写真⑦⑧ クワコの幼虫発見から3年目、2011年に蚕のフェロモンを用いてオスの成虫・蛾が捕れた!
愛弟子の脇坂英弥君が、野鳥のケリのDNA研究に伊藤雅信先生をかつぎ出して以来、伊藤先生には畑違いの鳥類から京都市の天然記念物・ミナミイシガメやスッポンなど爬虫両生類の調査にも駆り出し、日本鳥学会や日本カメ会議などの学会にも共同調査員として参加している20数年来のナチュラリスト仲間に、コロナ禍で暗雲立ち込める主要な環境イベント・記念フォーラムの開催のメインとして力添えいただき感謝しています。事務局の市役所環境課課長さんたちと講演の依頼に研究室を訪れたのは、コロナ禍真っ盛りの夏の時期のことでした。(写真⑨)
今回の環境フォーラムを機に、「城陽生き物ガイドブック・昆虫編」の完成披露と一般配布も始まりました。編集された山村元秀先生(写真⑩左)・竹内康先生(同中)に城陽環境PS会議ゆかりの仲間たち(写真⑪)共々、また伊藤雅信先生(写真中)を囲んで我が家名物・木津川産天然スッポンの自然の恵みの会を開催できる日が一日も早く来ることを願っているコロナ鬱から目覚めつつあるナチュラリストです。
連載再開、次号からの活動報告にご期待下さい。