冬から春へと季節が移りゆく「節分」の伝統行事が2、3日、地元各地で賑やかに営まれた。例年よりも寒さ穏やかな天候の下、厄除けや招福を祈る大勢の人々が寺社などへ足を運び、年に一度の節分祭を楽しんだ。
■拳四朗選手が今年も登場/宇治神社
宇治市宇治山田、宇治神社(花房義久宮司)では、正午からの太鼓と伊勢神楽奉納で節分祭がスタート。境内には多くの市民が訪れ、恒例の豆まきを今か今かと待ち構えた。
拝殿では、同神社を後援する桐原会の久保田勇会長、山本正市長、山仲修矢宇治商工会議所会頭、安藤裕衆院議員ら地元名士に加え、今年もWBC世界ライトフライ級チャンピオンの寺地拳四朗選手が豆まきに参加した。
午後1時30分、「福は内、福は内」の声と共に縁起物の福豆まきが始まった。参拝者たちは手を伸ばしながら、威勢よくまかれる豆を求めた。このほか、甘酒の無料接待や福引も行われた。
■かがり火の中 甘酒振る舞い/正覚院
高野山真言宗・正覚院(宇治市宇治又振、杉山徹義住職)では、厄除けを祈願する節分祭(星まつり)が開かれた。
杉山住職が無病息災の祈祷をささげる中、かがり火から出る煙が、冬の風情を醸し出した。訪れた人たちは、開運不動に手を合わせながら、今年1年の平穏を願った。
境内では、たっぷりのショウガを混ぜた特製甘酒の振る舞いがあり、参拝者たちが腰を落ち着けて味わった。約1000袋を準備した福豆の授与もあり、続々と人が集まっていた。
■福豆・甘酒 ホッと一息/神明神社
宇治市の神明神社では、宮総代らが節分祭を営んだ。
神楽殿で神事があり、花房義久宮司が祝詞を奏上。参拝者らは二礼二拍手一礼をし、家内安全や無病息災を祈願した。花房宮司は節分のいわれを説明し、季節の変わり目に当たることから「ご自愛し、健やかに過ごしてください」と呼び掛けた。
続いて、「御神酒」が当たるクジ入りの福豆が授与され、人だかりができた。
神楽殿そばのテントでは温かな甘酒の接待もあり、大鍋から立ち上がる湯気に包まれる中、人々がほっと一息をついた。
■荒行「火渡り」で息災祈願/心華寺金港辯財天
厳かに節分採燈護摩法要
宇治市神明石塚の心華寺金港辯財天で2日、節分採燈護摩法要が営まれた。全国各地から大勢の参拝者が訪れ、護摩祈願や福豆まき、火渡りなどで、1年の無病息災を願った。
毎年2月の第1日曜日に営まれている行事。ほら貝を響かせながらやってきた山伏による問答で幕開けした。
本堂前の燈壇に点火されると勢いよく炎と煙が上がり大きな歓声が上がった。参拝者は願いごとが書き込まれた護摩木を火の中に投げ入れ、手を合わせて無病息災などを祈願した。
護摩木の燃え跡を裸足で歩く荒行「火渡り」では、ゆっくりと静かに渡るお年寄りや、「熱い、熱い!」と駆け出す子供たちの姿もあった。
このほか、年男年女による福豆まきや開運ぜんざい、お雑煮の接待もあり、境内は賑わいを見せた。
■効験あらたか 霊芝そば/許波多神社
勝運を授かる神―として神馬をまつる許波多神社(木村孝治宮司)=宇治市五ケ庄古川=では、氏子総代ら協力の節分祭と星まつりが行われ、家内安全と厄除け、病封じを願った。
大きな樹々に覆われ厳かな雰囲気を醸す境内は、朝から参拝者の熱気に包まれた。
今回も、霊芝そばとお神酒を500人に接待。福豆の授与もあり、たっぷりとボリュームがあるそばをすすった地元住民らは歓談を弾ませると、神前で静かに手を合わせた。
■「大きな福」呼ぶ節分祭/龍神総宮社 遠藤関らに大歓声
宇治市五ケ庄広岡谷の宗教法人庚申会・龍神総宮社(辻本公俊祭主)では2日、「節分祭・星まつり祈願祭」が盛大に催され、家運隆盛・厄災除けなど切なる祈りを胸に、角界の人気力士や歌手、俳優、芸舞妓らによる華やかな豆まきで、大きな福を授かった。
お祓いの儀で式典が始まり、祭司礼拝の儀、祈願文奉上に続き、辻本祭主による「福展豆まき」が行われた。
そのあと、年男年女が「福はうち」と満面の笑みで豆まき。子供たちは、特設ステージ上の赤鬼、青鬼に「えいっ」と豆を投げつけ、鳥居前での大護摩奉上では、厄除けの願いを込めた炎が天に舞い上った。
そして、辻本祭主をはじめ二之湯智参院議員(自民)、安藤裕衆院議員(自民)、宇治商工会議所の山仲修矢会頭ら地元の政財界関係者、さらに角界から小結・大栄翔関、1月場所で2横綱、1大関を破って殊勲賞に輝いた遠藤関、俳優で歌手の中条きよしさん、歌手の小柳ルミ子さん、俳優の片桐竜治さん、中野英雄さん、原田龍二さん、中山こころさん、それにお馴染み・河内家菊水丸さんに、宮川町の芸舞妓らも加わった「昇龍福展豆まき」が盛大に繰り広げられた。
歌手の中条きよしさん、小柳ルミ子さんがヒット曲を披露し、聖域は大盛り上がり。
さらに福豆には、オーストラリア4日間ペアなどの海外旅行や豪華家電賞品など1200本が当たる福引きが入っており、運よく当選した人の歓喜の声も響く中、参拝者らは晴天の下、有意義なひとときを過ごし、振る舞われた巻寿司、焼きいわしで厄落としをした。
■田楽で厄落とし お福分け豆舞う/禅定寺
宇治田原町の曹洞宗・禅定寺では厄落とし『コンニャク田楽』が振る舞われ、参拝者らは、ふうふうと息を吹きかけて頬張った。
そして、久保敬童住職が「福は~うち」と豆まきを始めると、老若男女が帽子や袋をかざし、衣服も広げて福を追い求め、禅定寺観音のご縁が1年間続きますように―と5円(ごえん)硬貨を付けた『お福分け豆』が宙を舞うと、天空に向かって一層大きな歓声が上がった。
■香り立つ厄除甘酒/御栗栖神社
宇治田原町南にある御栗栖神社(高屋光政宮司)の「節分祭」では、参拝者に御札などの家飾りや福豆が配られ、絵馬堂では、毎年恒例の厄除け甘酒接待。
氏子総代会の女性らが純米大吟醸の酒粕と生姜で作った甘酒は体を温めるだけでなく、香り立つ風味が訪れた人たちの心を癒した。
■平穏を求めて 招福除災祈願/三宮神社
宇治田原町立川の三宮神社(高屋光政宮司)でも「節分祭」が行われ、地域の住民たちが1年間の平穏を求めて招福除災祈願。参拝者には福豆や御札が配られた。