城陽市特産「寺田いも」の収穫期を迎えた。砂地土壌に恵まれた久世荒内・寺田塚本地区のいも畑では、栗のように甘いと評判の大ぶりのいもが掘り起こされ、生産農家も「7月末まで続いた長梅雨で心配したが、8月の日照りで生育が回復し、平年作」と笑顔をほころばせる。新市街地「サンフォルテ城陽」の整備で、観光いも掘り農園の運営は難しくなりつつあるが、各農家が幼稚園、保育所などの固定客を迎え、収穫の秋が実感できる機会を提供している。
国道24号(大久保バイパス)沿いのいも畑は、かつての木津川氾濫で堆積した砂地土壌を生かし、1965年ごろから良質な〝寺田いも〟の産地として広く知られるようになった。
新市街地が整備されるまでは、府内を中心に奈良、大阪方面から家族連れら年間約2万人が訪れていたが、今はグループではなく、農家個々が幼稚園、保育所の園児らを受け入れる形態に変わりつつある。
それでも「甘みがあり、食べ応えがある」という寺田いもの人気は健在。生産農家の一人、田畑直幸さん(69)のいも畑でも、土の中から良く実ったいもが次々と掘り起こされている。
今月10日ごろから、いもの試し掘りを始めたという田畑さんだが「10月に入ってからが最も収穫体験がにぎわう」といい、これから1カ月ほどは忙しい日々が続きそう。
今年の出来について田畑さんは「平年並み。今はやや小ぶりだが、10月になると大きくなる。15㌢ぐらいのいもが一番美味しいのでは」とプロの目でアドバイスを送る。
今年は約10㌃の畑にいも苗約3500本を植え付けた田畑さん。品種は「紅はるか」「鳴門金時」。焼きいものほか、蒸したいもをスライス状に切って「いもスルメというお菓子にすると美味しいですよ」と話した。