宇治田原町の山里…奥山田川上に創建されてから約800年という正寿院で、21日から、夏の『風鈴まつり』が始まった。
コロナ緊急事態宣言の解除を受けて開催。ハート形の「猪目窓」、花で彩られた「天井画」で人気の客殿前にも吊るされているが、そこで揺れるのは、奮闘する医療従事者への感謝の意を示す「青色」の風鈴だ。
また、本堂近くには篠原風鈴本舗(東京都)の伝統工芸品「江戸風鈴」が並び、ガラスの切り口を、あえてギザギザにすることから生まれる明瞭な響きが印象的。
そして、参道に導くのは花風鈴小径。
桔梗(ききょう)、朝顔、ホオズキなど夏の花が手づくりの造花であしらわれており、今の季節に合わせた紫陽花(あじさい)は、7~8月に向日葵(ヒマワリ)、9月には秋桜(コスモス)へと変わる。【写真】
長野県の飯田水引によるハートがあしらわれた風鈴もあり、その数は現在2000余り。吊るされている棚は、川上に移住して2年という木工職人・宮里茂治さんの手によるものだ。
人間の五感で涼を感じてもらおう…との思いから、境内に飾りはじめ、「眼」と「耳」を刺激するだけでなく、豊かな自然と茶畑の香りが「鼻」をくすぐり、本場のお茶で「舌」を魅了、風鈴の絵付け体験が「触覚」を呼び覚ます。
宇治市内より夏場の平均気温が5℃ほど低いと言われる奥山田の涼感をさらにアップさせ、本堂には全国47都道府県の風鈴も並ぶ。
初日に岐阜県からやって来たという女性は「車を降りると聞こえてきた風鈴の音に誘われるようにお寺に入りました。日光が差し込んだところが、とても奇麗」と、心にも吹く涼風を感じ取っていた。
風鈴まつりは9月18日(土)までで、期間中の拝観料はお茶、お菓子つきで800円となっているが、状況を見てお茶の接待は見送る場合あり。交通アクセスは正寿院ホームページに詳細。駐車場は60台分あるが、協力金をお願いしている。