恒例の瑞饋神輿づくり佳境/京田辺・棚倉孫神社

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京田辺市の旧村のたたずまい―棚倉孫(ひこ)神社(南啓史宮司)=田辺棚倉=で、恒例の「瑞饋神輿(ずいきみこし)」づくりが佳境を迎えた。コロナ禍、居祭りが決まった秋の大祭を控え、境内に彩りを添える繊細かつ華やかな、他にない神輿に欠かせないえびいもの茎である瑞饋を今年も地元にある「さんさん山城」(新免修施設長)=興戸小モ詰=の利用者らが勇んで持ち寄せた。
珍重な「瑞饋神輿」は同神社ならではのもの。

総代らが力を合わせ野菜と穀物を飾り付けていく(棚倉孫神社)

地元特産のえびいもの茎(瑞饋)を屋根に用い、およそ30種類という野菜や穀物で飾り付ける。
大豆や小豆などを一粒一粒貼り付けた神輿の壁をはじめ、唐辛子や金柑、赤茄子を一つずつ糸で通したぶら下げ型のキラキラ飾りの「瓔珞」(ようらく)、米や麦など粒でできた文様がまたとない特徴となっている。
現在に至るも由緒書きや記録はなく、古くは同社所蔵の掛け軸(大正期)に絵が描かれているという。
1978(昭和53)年に瑞饋神輿保存会が結成され、現在は瑞饋神輿制作者の会(6人)と総代らで制作に当たる。
約380㌔にもなるという通常の神輿は隔年で制作。ほかに、小振りな子供神輿も煌びやかに同様の飾り付けを行っている。
何分、天候に左右される作物群。
材料の調達にも骨を折る中、宮畑で栽培する青瑞饋とともに必要な赤瑞饋をJAのほか、3年前から「さんさん山城」に頼っている。
毎年、約200本の瑞饋を準備するという。
神輿のてっぺんから瑞饋を連ねて並べ、いもの部分をカットして庇に近い底部を調整する。
保存会の西川秀司さんとの縁に始まり、さんさんは毎年約50本を奉納。農作物の豊作などを願う地元の伝統行事に関わり続けている。

■形も出揃う50本

同市東にある畑でえびいも栽培に励むさんさん山城。
元々、タネである親芋に養分を集中させるため、いもを取るメーンのえびいもとは別に分けた50本以上を瑞饋神輿用に栽培・管理してきた。
いもが目的の株は9月に親株を切り始めるが、神輿用は親株を切り落とさずに栄養を行き渡らせ茎を太らせる。

さんさん山城から搬入奉納された瑞饋

前日に刈り取った瑞饋はきれいに泥を落とし、この日は利用者と職員の約15人で境内へ搬入。
既に約半月間、日中を通して神輿制作に励む総代らのもとまでフレッシュで形の揃った瑞饋を送り届けた。
制作者の会の西川治さんは「天候不順のせいか、今年は細くて短い瑞饋が多い。9月初めには生産者から出来がよくない旨の連絡もあった。さんさんの瑞饋は出来がよく揃っている」と声を上げた。
「1年あけば制作技術の継承にも影響が出る。鮮度の問題もあり、ぶっ続けで制作している」とやりがいを感じさせる。
さんさん・藤永実管理者(センター長)は「神社から感謝状もいただいた。地元にある施設として、地域の伝統行事に貢献を続けたい」と声を強める。
収束まで、いまだ半ばのコロナ禍、15日(金)の大祭は居祭りで催行する。
巡行も自粛し、制作者の会などはきょうまでに仕上げ、あす14日の宵宮までに間に合わせる。

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