横断歩道の歩行者優先「ドライバー止まって」/田辺署

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田辺署(洞修司署長)管内では今年これまでに3件の交通死亡事故が発生。昨年の1年間は死亡事故がなかっただけに、危機感を募らせ、啓発活動を盛んにしている。府警が進める「京都モデル」を強調した歩行者へのアピールと並行してドライバーに対する目も光らせている。横断歩道を前にしっかりと止まるよう促している。
秋の全国交通安全運動を終えた先月はじめ、田辺署は庁舎前を走る府道八幡木津線で夕刻、ドライバーを対象にした啓発活動を行った。
田辺中学校と田辺小学校の生徒児童が数多く行き来する手狭な片側1車線の府道。
同署側から山城田辺郵便局側へ信号のない横断歩道があり、南方向へ家路に就く自転車の生徒、徒歩の児童らは車両通行の合間を縫って渡らなければならない。
午後3時30分から始めた活動では、同署交通課の福山智晴課長をはじめ7人の署員が直接、窓越しに運転手へ呼び掛けた。
歩行者が待つのに止まろうとしないドライバーに「今、止まるタイミングですね」と注意を促し、停止するようにアプローチした。
福山課長は「幼児児童生徒らの被害者を出さない。よく見ずに渡ってしまう可能性もあるし、車が止まらない危険もある」と気を引き締めるようにアピールする。
同署によると、今年1~6月までの人身事故認知件数は、府内で1886件(前年同期比171件減)で、死傷者は2157人(同191人減)。
京田辺市と井手・宇治田原町の同署管内では、45件で7件増加。
死傷者は49人(同7人増)。うち死亡事故は9月発生分を含む3件(いずれも京田辺市内)が発生し、前年のゼロから大きく増えた。
昨年中の府内の発生件数は4118件で、同署管内では74件となっている。
同署は前年対比7件の増加を課題とし、「人対車両が6件増え、人的被害が大きくなる事故形態で、歩行者保護を重点とした対策が必要」ととらえる。
秋の全国交通安全運動でも、子供(幼児児童)や高齢者の事故防止の観点から、「信号機のない横断歩道における歩行者優先」「歩行者防護活動(SWA)」に取り組み、その後も継続している。
福山課長は「歩行者が渡ることができる環境に。ドライバーには、歩行者がいれば止まってもらう。そういった機運を高め、事業所からも広めてもらう」と、地元の運動協力事業者に訴え、自転車に乗った中学生たちにも京都モデルと呼ばれる「止まる・左右を見る・待つ」に加え「手を上げる・手のひらと顔をドライバーに掲げて認識してもらう」ようアドバイスしている。
京田辺市内では、新たに転入が続く南部地域を中心に校区となる田辺中に通う生徒数のピーク推定は2029(令和11)年の1241人で、今より300人増える見込み。
ハードの整備がままならない中で、同校では上級生が下級生に自転車マナーの講習を行い学び合うなどの取り組みを進めているが、登下校のリスク減は特に待望される。
同署の小松晃副署長は「そもそもドライバーが止まってもらうのは一番望ましい」と、横断歩道を前にした徐行、停車の励行を強調する。

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