第2期複線化事業完了、新ダイヤ運行開始/JR奈良線

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西日本旅客鉄道㈱(JR西日本)が進めてきた奈良線高速化・複線化第2期事業に伴い、18日から「京都―城陽」間が完全複線化された。平日朝の通勤・通学ラッシュ時に運転間隔の短縮を図るほか、一部列車で所要時間を短縮。複線化の関連事業として移転・新築を進めてきた六地蔵駅(宇治市)の供用も開始され、安全性が向上する。
JR奈良線(京都‐木津、34・7㌔)の複線化事業は、2001年3月に終了した第1期事業で「京都‐JR藤森」(5㌔)、「宇治‐新田」(3・2㌔)の2区間が完了した。
沿線市町で構成する複線化促進協議会(会長=汐見明男・井手町長)の活動もあって、第2期事業が決定し、20年3月に着手した。約397億円を投じて、新たに「JR藤森‐宇治」(9・9㌔)、「新田‐城陽」(2・1㌔)、「山城多賀‐玉水」(2・0㌔)の3区間を複線化。これで複線化率は約64%(従来24%)までアップした。
対向列車の待ち合わせ解消に伴い、JR西日本は、平日朝の通勤時間帯(7時30分~8時30分)において、城陽駅や宇治駅を発車する京都行きの列車を増便。例えば午前7時台の城陽、新田、宇治の各駅を発車する列車は各9本(従来7本)に増える。
また、平日朝の通勤時間帯に、京都着となる城陽発の運転間隔は、快速・区間快速が概ね12分(同16~20分)、普通が12~17分(同7~33分)に短縮。所要時間も快速・区間快速を26分(同26~28分)、普通を31~38分(同34~47分)に短縮する。
このほか、平日昼間の快速の所要時間を短縮。「京都‐奈良」間は44分となり、1~5分早くなる。

■新・六地蔵駅、供用開始/安全性、利便性が向上

JR六地蔵駅・新駅舎前で関係者がテープカット

複線化の関連事業として、宇治市とJR西日本が総額約14億円を投じて進めてきたのが六地蔵駅の改良。17日には完成記念式典が開かれ、地域住民ら約110人が新駅舎の完成を喜んだ。
1992年10月に開業した同駅は乗降客が増加し、2019年度は一日平均で約1万5000人が利用。コロナ禍で昨年度は同約1万2400人にとどまったが、アフターコロナで再びの増加が見込まれる。
しかし、同駅はホームがカーブしているため、列車との隙間が広く、転落事故の危険性が指摘されてきた。今回、従来ホームを京都方面に80㍍延伸するとともに駅舎を移転。ホームの総延長は125㍍で変更なく、従来ホームのうち約45㍍は、そのまま活用する。

直線になったホーム(奥は従来ホーム)

新ホームは幅員が6・7~8㍍(従来4・8~6㍍)で約2㍍広がった。駅舎はエレベーターを新設したほか、従来は上りしかなかったエスカレーターは上り・下りの各1基を整備。バリアフリートイレも新設した。
駅舎移転に伴い、京都市営地下鉄・六地蔵駅までの距離が約20㍍と従来の約100㍍から短くなり、乗り換えが便利に。両駅間の間は屋根が整備され、雨でも傘を差すことなく乗り換え可能となった。
新駅舎のコンセプトは『六地蔵の歴史継承と周辺開発をリードする新しい玄関口』とした。同周辺では大規模分譲マンションなどの開発が展開されており、今後の発展を見据え、外観は新たな玄関口に相応しい「ゲート」をイメージ。改札前のコンコースには、大善寺六角堂(通称・六地蔵尊)から着想を得て、六角形の吹き抜け空間をつくった。
関係者らは新駅舎の前でテープカットした後、新たな駅舎、ホームを見学した。市北の玄関街づくり協議会の山田久徳会長は「JR、地下鉄、京阪の六地蔵駅が近くなった。3駅を中心に地域が発展してほしい」と期待。ただ、一般の見学者からは、売店がなくなったことを不便に感じる声があった。

■「お茶の京都トレイン」新登場

記念のテープカットを行った関係者ら

第2期複線化開業が間近に迫った16日、JR「お茶の京都トレイン」の完成お披露目式が宇治駅のホームで開かれ、関係者80人が出発を祝った。宇治・山城地域の魅力アピールに期待が高まる。
奈良線を中心に運行する「お茶の京都トレイン」は緑を基調に、茶道具などをモチーフにした菱形模様が描かれている。車内には茶葉柄の座席カバーを配置したほか、山城地域12市町村のおすすめスポットを切り絵にした中吊りポスター、ほっと一息つけるこぼれ話を記した窓上広告など「お茶の京都」の魅力が詰まったデザインに仕上げた。
この日のセレモニーでは、主催者挨拶に立った西脇隆俊府知事が「お茶の京都トレインの出発を皮切りに、観光客を呼び込み、公共交通利用促進にも取り組んでいきたい」と述べ、山城地域の発展を願った。

のぞみこども園の園児たちが笑顔で手を振り見送りした

関係者らはテープカットの後、「お茶の京都トレイン」先頭車両ドアから乗り込みスタンバイ。午前10時40分ごろ、発車合図とともに京都駅に向け出発した。槇島町「のぞみこども園」の5歳児19人が招かれ、スピードを上げて走る列車へ手を振りながらお見送りした。
6両編成区間は京都~木津間。期間は3年程度で、大阪方面を含め、他の路線も走行する場合もある。JRによると、一日当たりの本数は未定で、走行しない日もあるため、「狙って」乗ることは難しいという。

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