日本緑茶発祥の地…宇治田原町湯屋谷に伝わる風物詩『灯籠張り』が19日、長福寺で執り行われ、4年ぶりに盆踊りも復活。しっとりと浮かぶ光と盆踊りを盛り上げる威勢の良い音頭が絶妙にコラボし、夏の夜を和やかに、艶やかに彩った。
湯屋谷の4つの谷(石詰・塩谷・中谷・西谷)ごとに四角い灯籠(とうろう)を張り、疫病退散と五穀豊穣を願って長福寺に奉納する江戸時代末期から続く伝統行事。
風刺句や祝い歌を書いた灯籠の上には夏野菜で作ったユニークな干支を飾りつけ、稲穂を刺すという独特な姿が特徴的で、2018年3月に京都府無形民俗文化財に指定された。
その2年前…16年からは、この地蔵盆行事を、より広く知ってもらおう―と、『未来をともす・やんたん灯りまつり』としてスケールアップ。夜店や盆踊りで盛り上がっていたが、コロナ禍により20年からは灯籠奉納、念仏法要のみとなっていた。
そして迎えた今年の夏…境内には焼き鳥、かき氷、当てもん、綿菓子、各種飲み物など賑やかに模擬店も並び、二代目「桜川唯丸会」による迫力満点の生演奏「江州音頭」が盆踊りを盛り上げた。
西谷信夫町長や山井和則衆院議員も加わり、踊りの輪は午後7時すぎから連続3時間に及び、踊れ踊れや、さあ踊れ。
まさに熱気が渦巻いたが、地元の古参によると「昔は午前0時を過ぎても、輪はとぎれなかった」といい、音頭取りが「しっかりせい」と声を張り上げると、踊りの衆が「朝までこい」と大声で返したという。
また、踊りの輪は陸上競技のトラック同様、「左回り」が多い中、ここ湯屋谷は時計のような「右回り」。老若男女が櫓(やぐら)を囲んで揺れるように舞った。