萬福寺3棟、国宝に格上げ/文化審答申
国宝になる萬福寺の大雄宝殿(府発表資料より)

国の文化審議会(島谷弘幸会長)は18日、宇治市五ケ庄の萬福寺にある大雄宝殿(だいおうほうでん)、法堂(はっとう)、天王殿(てんのうでん)の3棟を国宝(建造物)に指定することを文部科学大臣に答申した。
萬福寺は、17世紀半ばに中国より伝来した黄檗宗の大本山で、中国の高僧・隠元隆琦が4代将軍・徳川家綱を大檀越として創建。3棟は寛文年間(1661~73)の建築で、中国の福州にある黄檗山萬福寺に倣って整えられた壮大な伽藍の中心的な堂宇となっている。
答申では「3棟は、我が国在来の寺院建築手法に、中国由来の意匠や形式を融合した独特の様式を代表するもので、近世の外来様式の摂取と受容のあり方を示し貴重。異国情調漂う伽藍は、建築のみならず芸術や生活文化など全国に伝播・浸透した新たな黄檗文化を象徴する」と評価した。
建造物の国宝は市内で1897(明治30)年の平等院、1902(明治35)年の宇治上神社の本殿、拝殿に次いで、122年ぶり4件目となる。
萬福寺はホームページで「主要伽藍はすでに国の重要文化財に指定されており、その数は23棟。創建以来の先達方が諸堂の維持管理を継続してくださった賜物であり、また、その維持修復に尽力してくださった技師や関係者の皆様に深く敬意を表したい。国に認められた建物として、今後も維持管理に万全を期し、後世に引き継いでいく責務を改めて痛感しております」とのコメントを掲載した。

■登録無形文化財に手揉み製茶

製茶中の風景(府発表資料より)

文化審は「手揉み製茶」の技術を、登録無形文化財に登録することについても文科大臣に答申した。
茶種の1つである煎茶、かぶせ茶又は玉露を手作業で作り上げる伝統的なわざ。手もみ製茶技術保存会(中森慰会長、静岡県)を保持団体として認定しており、府内でも3人が会員登録している。