
城陽市歴史民俗資料館『五里ごり館』(薄井ゆみこ館長)=文化パルク城陽西館4階=で、26日から春の資料紹介「古墳へ行こう!2025+発掘調査速報展」が始まった。南山城最大の前方後円墳「久津川車塚古墳」=古墳時代中期=の手作り模型を見ながら、児童らが「古墳の基礎知識」を楽しく学べる展示内容。合わせて、市教委による久津川車塚古墳や平川廃寺跡、府埋蔵文化財調査研究センターによる芝山古墳群(第23次)の発掘調査速報展など見どころ満載。期間は6月22日(日)まで。
この資料紹介は、小学6年の社会科(大昔のくらしとくにの統一)に合わせて、2008年から毎年、この時期に2カ月程度、催されている。
会場の特別展示室では、「古墳って何」から始まり、「古墳のできるまで」と題して南山城最大の全長272㍍もある国史跡・久津川車塚古墳(古墳時代中期)などの概要が小学生にも分かりやすくパネルや大型模型(1・75㍍四方)で紹介されている。
昨年度は市内10小学校のうち、8校が見学に訪れ、学芸員から解説を受けた。今年度もすでに4校の予約が入り、6年生たちが5月下旬から順次、来館する見込み。

特別展示室内では、市教委が2014年度から継続して行っている国史跡・久津川車塚古墳の昨年度発掘調査の成果も分かりやすく紹介。昨年度の調査で「前方部東側の中央付近には、渡り土手がなかったこと」や「前方部東側と南東隅角部の状況を初めて確認できたこと」など発掘成果を説明している。
また、平川廃寺跡=同市平川古宮=では、これまで未調査だった「北回廊と講堂の推定地で、講堂の基壇の西辺や礎石の跡を確認」。駐車場用地のため、調査後、遺構は埋め戻されたが、現在も「地下に保存している」という。

そのほか、府埋蔵文化財調査研究センターの発掘調査地である「芝山古墳群」=新名神や国道24号拡幅工事現場(富野上ノ芝・中ノ芝と寺田南中芝)=から出土した須恵器(土器片から復元)や下部の埋葬施設の副葬品「大刀(長さ95・2㌢)」など遺物も初展示されている。
府埋文センターの小泉裕司さんによると「上下に埋葬施設(V‐2号墳)が構築される例は、古墳時代後期の古墳としては極めて稀。上下の埋葬時期がそれほど離れていないことから「おそらく当地を支配していた有力者(武人的な性格を持つ小規模な首長)と妻の埋葬施設で、合葬ではないか」と話した。

さらに、同時期(6世紀中ごろ)に築造された長池古墳が、芝山古墳群の盟主墳と位置付けられることから、埋葬者は「当時、富野地域を治めた首長」と推定。したがって、V‐2号墳の下層埋葬施設に納められたのは「首長を支えた地域のリーダー的存在」とみられる。
これら城陽の地での歴史ベールに興味のある人は、小学6年生に限らず、大人も市歴民へ。
一方、常設展示室では、久津川古墳群や正道官衙遺跡についてプロジェクターによる説明も見聞きすることができ、QRコードをスマホ等で読み取ると、展示資料(出土遺物)を3次元CG(コンピュータグラフィックス)で見ることができる。
市歴民の開館時間は午前10時から午後5時まで。文パル同様に月曜日などは休館。観覧料は大人200円、小中学生100円。ただし、市内在住の小中学生と65歳以上の高齢者、身障者は無料で入館でき、「春の資料紹介」展示最終日の6月22日(日)は誰でも観覧無料となる。