秋季特別展『正道官衙遺跡と奈良時代の役所』/12月15日まで・城陽市歴史民俗資料館

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城陽市歴史民俗資料館「五里ごり館」で、JOYOエコミュージアム・令和6年度秋季特別展『正道官衙遺跡と奈良時代の役所』が始まった。今回の特別展では、同遺跡が国史跡に指定されて50周年の節目を記念して、発見から発掘調査、史跡指定、公園整備に至るまでの歩みを詳しく紹介。市教委文化スポーツ推進課文化財係の仲林篤史主任(42)が手掛けた復元CG(コンピューターグラフィックス)による3次元映像=約7分=が初公開されるなど、国内に現存しない奈良時代の官衙建物(郡役所跡)をリアルに再現し、当時の役人の仕事、勤務評価についても詳しく知ることができる。
正道官衙遺跡は、正道遺跡=城陽市寺田正道=のうち、奈良時代(710~794年)の郡衙(郡の役所)の遺構を中心とした範囲を対象とする。1966(昭和41)年に始まった府教委による発掘調査をきっかけに、その後の市教委による調査を経て、その解明が進んだ。遺跡の規模、配置、立地などから山背国(やましろのくに)久世郡の郡衙の中心遺構と推定される。
1974(同49)年に市内初の国史跡に指定され、1990~92(平成2~4)年度にかけて史跡整備が行われ、柱など建物の一部が復元。今は史跡公園として地域住民に親しまれている。
今回の秋季特別展では、正道官衙遺跡の国史跡指定50周年の節目に、発見から発掘調査、史跡指定、公園整備に至るまでの歩みを詳しく紹介している。

正道官衙遺跡の復元CGについて説明する市教委文化財係の仲林主任

その中でも国内に現存しない奈良時代の官衙建物(役所跡)を、同時期の寺院建築や文字、絵巻などの史料を参考にし、3次元CG映像で復元して初公開していることが注目点。
日本の律令制度は、中国の唐を手本に、710(大宝元)年の大宝律令の制定により完成したとされる。国を治める「国府(国衙)」と、地方(郡)を司る役所「郡衙」が設けられ、正道官衙もその一つ。主に、税の徴収や戸籍の管理、国衙からの命令通達を行っていたとみられる。
展示では、仕事にあたる当時の役人像(向日市文化資料館蔵)や役人の勤務評価を示した木簡(木津川市教委蔵)も借り受けて紹介。奈良時代の役所で、役人らが遊んでいたとされる双六(すごろく)に似たボードゲーム「樗蒲(かりうち)」に使われていた須恵器皿(奈良文化財研究所蔵)も見ることができる。
このほか、南山城地域に点在する寺界道遺跡(宇治市)、芝山遺跡(城陽市)、興戸遺跡(京田辺市)等についても取り上げ、写真やパネルで解説している。
展示の点数は実物269、写真・図表83、映像1の計353点。
特別展の開催期間は12月15日(日)まで。月曜日や祝日の翌日などは休館。「関西文化の日」である11月3日(日・祝)と最終日12月15日(日)は、誰でも無料で入館できる日とする。
なお、市歴民「五里ごり館」の開館時間は午前10時~午後5時。入館料は大人200円、小・中学生100円。ただし、市内在住小・中学生や65歳以上の高齢者、身障者手帳を有する人は無料となる。

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