タイトルは「宇治橋」/宇治発映画、クランクインへ
シーンの構想を膨らませる斉藤さん(左)と宇都木さん

まちづくりの思いを映画で表現しようと、市民参加での映画制作を模索してきた「宇治発映画制作実行委員会」(宇都木充雄会長)の夢が、いよいよ実現する。タイトルは「宇治橋」。脚本が出来上がり、監督も決まった。今月下旬、クランクインする。
同会は、2019年に発足。これまで、宇治橋通り商店街「大阪屋マーケット」での映画上映会や「宇治発映画アイデアコンテスト」などを企画し、映画制作の気運を醸成しながら、宇治の魅力を伝える市民参加の映画制作を模索してきた。
脚本は、宇治市在住で「劇団そら」を主宰する、さくらさちさん。さくらさんは脚本家として活躍する一方、小説「りせっと」で第30回紫式部市民文化賞選考委員特別賞(2020年)も受賞している。
監督は、宇治橋通り商店街にある写真スタジオ「サイトー写真館」の斉藤耕至さんが引き受けた。斉藤さんは父が監督した映画の助監督を務めたり、映画・テレビドラマに出演した経験もある。「フルに思い出して務めたい。自分のできることでお手伝いしたい」と力を込める。
主な出演者も決定した。中には劇団で活動する人もいるが、ほとんどが演技は初めてという一般の市民だ。出来上がった脚本を手に、8月29日に初めての読み合わせが行われた。―東京で仕事に挫折した青年が、幼いころに別れた母の故郷、宇治にやってくる。過去と未来をつなぐという宇治橋で、彼が見たものは…。

映画の象徴的舞台となる宇治橋

ロケ地は、宇治橋通り商店街を始め、縣神社、塔の島、大吉山展望台など。商店街では、各店の主人がそのまま出演するという。「撮る方も演じる方も、せのびしちゃいけない。自然と、ドキュメントタッチになるのでは」「照明や録音も、未熟な面が出る。でも、生きている喜びが表現でき、気持ちがお客さんに伝われば、まちを活気づけることにつながるのでは」と斉藤さんは展望する。
プロデューサーとして資金調達やロケのコーディネートに奔走する宇都木さんは、「映画を作るプロセスで、絆が生まれる。新しい仲間が増え、地域の活性化につながる。宇治に住み、働いていて良かったと思ってもらえる作品にしたい」と意気込む。
クランクアップは来年1月。無料の上映会を、3月に予定している。